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琥珀色27

「今日はおめでとうございます。優紀さん。」

「ありがとうございます。」


彼女が松岡に対してお祝いを伝えている。


「いつ頃、お式ですか?」

「夏頃に予定しています。」

「良かったら式にも参列させていただきたいです。」

「ぜひ、きてくださいね。」


女同士で結婚式の話題で盛り上がっている。


その間もずっと彼女から目が離せない。

他の奴は会話をしながら、普段通りの態度をとりながら俺の態度を窺っているのがわかる。

彼女の隣に立つ男が俺の目線に気が付いて睨みつけてきている。


目線をそらすことなくお互い無言で睨み合っている。

周囲の奴らが雰囲気に気がついて遠巻きに見ている。


松岡と話している彼女に相槌求められ、隣の男は優しく相槌をうつ。

しかし、すぐに俺に視線を戻す。


彼女がやっと不穏な空気に気がついた。


「どうしたの?サム?」

彼女が俺を見ながら、やつに問いかける。

「いや。なんでもない。アン。」

そう言って、やつはまた彼女に笑いかけ、二人してこちらに向きを変えた。

「はじめまして。MR.道明寺。 サミュエル・ミラーです。」

「はじめまして。琥珀・スミスです。」

彼女に自己紹介され、頭に浮かぶのはやはり彼女ではないということ。

何を期待していたのだろう・・・・・・・・・・・・・。



男のほうは、自己紹介が終わったのをいいことに、

「アンも疲れているようですので、休憩してきます。
それでは、Mr.西門。」

そう言って、男のほうはこの場から離れる意思を示した。

「それでは、優紀さん。またお茶をいただきにお邪魔させてください。」

「アンさん。お待ちしています。」

彼女かやつから離れて、松岡にあいさつした後、一歩踏み出した。

彼女の体が少しふらついた。

とっさに差し出された手を彼女はつかみ、体勢を立て直した。

「すいません。ヒールに慣れなくて・・・・。」

そう言ってつかんだ手は、俺の手だった。

掴んだ手を見つめたまま、身動きが出来なかった・・・・・・。


「あの・・・・ありがとうございました。」


いつまでも手を放そうとしない俺に不審な顔を見せてくる。

「ありがとうございます。アン、行こう。」

そう言って、彼女を俺から引き離し、二人は立ち去って行った。

「司・・・・。」




そう言って,隣に立つ男を見上げたあと、俺を見た。








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琥珀色26

車を降りると、フラッシュに目がくらみそうになる。

慣れているとはいえ、いい気分にはなれないな・・・・・。

総二郎のためとはいえ、気が進まないな・・・。


本当は来たくなかった。

しかし、総二郎の婚約発表の会ということになれば、欠席できない。

欠席しても総二郎は許すだろうが、外野が騒がしくなり、俺がこの婚約に反対しているとも受け取られかねない。

騒がしい喧騒に進んでいく。

車の中で西田から、彼女が来ていることを聞いたことのほうが大きいかもしれない。


**************************

この会の招待状を渡しに総二郎が1週間前に屋敷に来た。

その時から落ち着かない。

総二郎からは、彼女との日本文化を広める関係で出会ったことと今までの経過を知らされた。


「世の中にはそっくりさんっているもんらしい。」

「優紀も俺もあったが、全くの別人だったよ。司・・・・・。欠席でも大丈夫だ。」


とても、気を遣わせていることが分かる。
彼女もたぶん参加だろうと教えてくれた。
逢いたくないならと 俺の欠席が、自分の婚約の足を引っ張ることになっても俺の気持ちを優先してくれている。
いままで、どれぐらい心配させてきたか・・・。

「別人だろ。気にしすぎだ。」

総二郎はほっとした顔で

「じゃあ、当日待ってる。」

そう言って帰って行った。

**********************************


今日は、パートナーなしで、いやいつもいないのが今の俺だ。

早速、前に契約したおやじに捕まり、ながながと社交辞令だ。

離れた位置にいたあきらと目が合い、友人がいたことで挨拶をしてその場を離れる。


「華やかだな。」

あきらに話しかけると、

「まあ、婚約発表だからな。」

そのまま、二人とも視線が今日の主役にそそがれる。

「幸せそうだな。」

あきらが優しそうに見つめたのに気がついたのか、総二郎が手を挙げた。

あきらが目線を俺に戻して

「俺も総二郎から聞いている、大丈夫か?」

あきらの発言に

「ふっ。・・・・・お前たち過保護だな。禿げるぞ。」

「おまえ、人の心配を・・・・」


「つかさー!!」
「お久しぶりです。道明寺さん。」

滋と三条が合流してきた。
あきらが滋の登場にこめかみを押さえる。

「今日はビジネスじゃないじゃん。」

滋の発言も総二郎の祝い事の集まりのためか楽しそうだ。


「来てくれてサンきゅ。」
「ありがとうございます。」
4人でいるところに総二郎と松岡がやってきた。

表向きは日本文化の普及となっているが実質は二人の婚約披露。

6人で婚約の二人をからかいながら過ごしていると、とても気になる気配を感じる。

他のやつらは何も気が付いていない。

何の気配だ・・・・?

視線を気になるほうに向けていると、彼女がパートナーと現れた。

俺がずっと同じ方向を見ているのにみんなが気付き、みんなの視線も彼女たちに注がれる。


「司・・・・・。」
「道明寺さん・…」

みんなの声が聞こえるが視線がそらせない。


会場に入ってきた二人は、知り合いと思われる人と挨拶を交わしていたが、こちらの視線に気がついた。

今日のメインの二人がいることもあり、連れだって歩いてくる。

「本日はおめでとうございます。」
そう言って、傍に立つ男が総二郎にあいさつをした。

「本日はおめでとうございます、優紀さん」
彼女が声を発した。






琥珀色25

自分の耳を疑った。

頭の中が整理できない。

聞きそこなったと思ったのか、もう一度西田が同じことを繰り返す。


「一度お逢いしてはいかがですか?」


「……」


長い沈黙の後、西田は深く溜め息をついた。

普段であれば、文句の一つ二つ言うところだ。

しかし、西田の意図がわからない。



「何も、お見合いをお勧めしているわけではありません。」

「…見合いなんてしないぞ。」

「一度お逢いして、違う人間だと認識してはいかがですかとお伝えしていますが」

「逢う必要ないだろう。別人だろう。」


自分の声がよわよわしく聞こえる


「坊ちゃん、本当に別人だと思っておいでですか?」

「…」

「きちんと事実を見つめるべきです。」

「彼女は坊ちゃんが幸せになることを望んでいます。」

「もし、今ここにいらっしゃればきっと坊ちゃんは叱られます。なぜ、幸せにならないのか。自分をもっと大切にと。

そのためにもお会いして、きちんと墓前にあいさつをされてはいかかでしょうか。」

「・・・・・・・・・・」

そう言って視線をそらすことなく俺を見ていた西田。

「今日の予定はキャンセルいたします。明朝9時にお迎えにあがります。その際に今度のことについてもお知らせください。」

西田はそう言っていつものように頭を下げて踵を返した。

今後のこと・・・・俺はどうしたいんだろう・・・・どうすればいい・・・・牧野・・・

琥珀色24

「牧野…?」

「まだ調査中ですが、かかれている経歴に間違いないとしか…」

西田が暗に牧野ではないと言っている。

書類に目を向けた、



22年前

水野 彰と妻 彰子の間に生まれる。

2才の時、事故に遭う

両親は死亡。
身内がいないため、親族である水野 翔に引き取られる。

水野翔は、当時スミス・アレクサンダーの運転手。

5歳の時、養父の水野翔が他界

半年後、スミス夫妻の養子となる。

スミス夫妻には子供がいないため、後継ぎとされている。
本人の安全を考え、養子になっていることは20才までは公表されていなかった。

19才の時

大きい交通事故を目撃し、1週間昏睡。

一時期、記憶の混濁が見られる。

医者は、幼少期のトラウマの可能性を指摘。

その後の治療により、徐々に落ち着きを取り戻す。

21歳より

スミス財閥で働き始める。


22才、首席卒業

卒業時にスミス夫妻の養女であることを公表

身の安全ため、伏せられていた。

スミス財閥ではなく、ミラー財閥で働く。

スミス夫妻とミラー夫妻は大学時代からの友人関係。


勤務先では明るい性格で、周りからの評価は良好

特定のパートナーはいないが、ミラー夫妻の息子のクリス、サムとは、家族ぐるみの付き合い

一時期、兄弟lのどちらかが婚約者との噂あり両家、週刊誌の内容を否定していない


週刊誌の写真が一緒にあり、内容を裏付ける





・・・・・・・・・・・まったくのそっくりさんか・・・・・・・・・。

期待なんて、していなかったなんて言えない。

立ったままの西田に向かい、

「余計な仕事だったな。調査は終了。」

「了解しました。本日は15時にお迎えにあがります。早朝に失礼いたしました。」

「わかった。」


いつもなら、頭を下げ帰っていく西田が動かない。

頭を下げかけたまま止まり、一度ゆっくりと目を閉じ、思案した後顔をあげて俺をまっすぐに見つめてきた。

「一度、お逢いになりませんか?」




琥珀色23


不機嫌に返事をしない態度にもびくともしないのが西田…?

焦っているのが態度に出ている・・・・・。

ポーカーフェイスがいつもなのに?

「昨日、依頼させた内容の報告です。

まだ、すべてを調査したわけではありませんが、」

そう話して、書類を渡してきた。

「司様、」

片手をあげ、何かを言いかけた西田を静止して書類に目を通す。


一枚目:
最近の西門家が参加した行事の一覧

・・・・・・婚約したこともあって、精力的に動いている


二枚目:
西門家と交流のある人間の現状。昔からの付き合い。

・・・・・まあ、こんなもんだろう。


3枚目:
最近、新たに知り合ったと思われる人物の経歴と写真

・・・・・・・アメリカのおっさんか。日本ブームは健在か。

4,5,6,7,8

9枚目で手が止まった。

これが牧野じゃなかったら、誰だ…。

・・・・・・似たやつだと聞いてはいたが、似てるだけじゃない。雰囲気まで赤の他人でここまで・・・・


「」

琥珀色22


泣いたようで、軽い頭痛を感じながら体を起こした。

コンコン

ノックの音で目が覚めたようだ。


タマの声で

「西田がきております。」

「今日は昼からだ」

「なんでもお伝えしたいことがあると」

「わかった。すぐ行く。」


昨日はあいつらとゆっくり飲む予定だったから、今朝はゆっくりのはず。

どこかで、トラブルか?

すっきりとはしない頭を抱えて、ダイニングへ向かう。



ドアを開けると、西田が立っていた。

いつもと様子が違う。

深刻なトラブルかと思うと、げんなりする。



「おはようございます。予定より早い時間に大変申し訳ありません。」


「…」

琥珀色21

ドアノブから手が離れていく。

もう一度ドアを開けようとしたが、あけることは出来なかった。

一歩下がり、ドアをしばらく見つめていたがそのまま、その場から立ち去った。




・・・・・・似た奴なんか、いらない・・・・・・欲しいのは牧野だけ。

・・・・・・・牧野が手に入るのなら、それ以外何もいらない。

・・・・・・・・手に入るのなら・・・・・・。




今降りてきたばかりの車に乗り込むと運転手が心配そうな顔を見せた。

「司様、顔色が優れませんが・・・。」

「屋敷に戻ってくれ・・・」

「・・・・・・了解しました。」


牧野が生きていたらと考え、使用人を大切に接するようになっていたがこのときだけはどうしようもなかった。


屋敷に向かう車中で、総二郎に仕事で行けないとメールをした。


メールの送信を確認し、目を閉じた。


屋敷に戻り、いつもの東の角部屋に向かう。


引き出しからあいつにやった、ペンダントを手に夜空を見上げた。

あいつに土星を見せたようなきれいな星空だった。



・・・・・・・もう一度、逢いたい。


・・・・・もう一度、声が聞きたい。

・・・・・・もう一度、もう一度でいいから・・・


あいつらの話だと、そっくりな奴がいるってことだ。

顔形が似ていても牧野じゃない。

でも、もう一度逢いたい。


そっくりでも牧野を見たいと思う気持ちが捨て切れない。



見てどうする、姿形だけだ。それでもそれにすがってしまいそうだ…




あいつらからなんて牧野に似たやつの話なんて聞きたくもない。



携帯を手に、西田を呼び出した。

「はい、西田です。」


「総と松岡の交友関係を報告しろ」

「・・・・・・西門さまの女性関係ですか?」

「違う。松岡が接触する女性中心に」

「…………わかりました」

携帯を投げ、スーツのままベッドに横になった。



・・・・もし生きていたらとありえないことを考えている。

・・・・生きていたら、なぜ家族に連絡しない、松岡にさえ

・・・・家族が黙っている?ありえない。墓まで作っている


・・・・・・せめて類には連絡するんじゃあないか。

・・・・・・・・俺に連絡…ないか。

最後は自分で自分を追い込む答えしか出てこない。


結局、生きていないとの結末に行き着く。

何回も繰り返して考えた繰り返し。



枕が湿ってきたが構わず、そのままペンダントを手に目を閉じた。


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